鉄道好きの夫が行きたいと平日に次男と3人で行ってみた、国立台湾博物館・鉄道部パーク(國立臺灣博物館鐵道部園區)。
電車にまつわる展示がたくさんあり、子供も楽しめたし、歴史的な建物に貴重な展示がたくさんあり、とっても見応えがありました!
鉄道部パーク(鐵道部園區)とは
日本統治時代の1918年(大正7年)に「台湾総督府鉄道部(臺灣總督府鐵道部)」の施設として建てられたもの。
元々この場所は清の時代に銃砲火薬を製作する鋳鉄所・鍛工場(機器局)などでした。
(MRT松山線の工事中に発見された清時代の遺跡も見学できます)日本統治時代になってからも同じような役割を担っていましたが、「南北縦貫鉄道建設計画」が出てきてからは陸軍省から鉄道部の管轄となり、鉄道に関する工場に。
「南北縦貫鉄道」が完成し、輸送力が拡大してからは工場が拡張され、その近くに「台湾総督府鉄道部(臺灣總督府鐵道部/台湾鉄路交通の総指揮部)」ができました。
(從鐵道部到鐵路局 − 台灣總督府鐵道部的改制より画像をお借りしました)この「南北縦貫鉄道建設」とは、北の基隆〜南の高雄まで鉄道を通す大計画!
清の時代にも鉄道は走っていましたが、「基隆-新竹」までと限定的でした。また急勾配や急カーブが多く、スピード・輸送力に欠けていたそう。
当初は民営の鉄道会社を作る予定が思うようにことが運ばず、第4代児玉総督の右腕、後藤新平指揮の元1899年に鉄道部が設立。日本から呼び寄せた技師長・長谷川謹介(台湾鉄道の父と言われる人らしい)により進められました。
その後、南北縦貫鉄道は1908年に完成(わずか9年!)。結局既線で使われたのはわずか8km、基隆-高雄間約405キロが開通しました。
戦後は、台湾鉄路管理局(皆さんおなじみ台鐵)の庁舎に。2010年に国定古蹟となっています。
修復には10年以上もの歳月がかけられたそう▽
2020年に国立台湾博物館・鉄道部パークとしてオープンしています。
参照:
アクセス
MRTグリーンライン(松山新店線)北門駅から徒歩5分弱。
台北駅から地下街を通り、Y24やY26出口で出ても◎
延平北路一段の大通りに面していて、立派な建物が離れた場所からもよく見えます。
北門の北側辺り。
料金
大人:100元
子供:50元(小学生未満は無料)
月曜定休です。
入口が2ヶ所あって、こちらは正面入口ではない方。改札っぽい雰囲気が良きでした。
結構広いよ。計6棟の建物紹介
鉄道部パークには、庁舎、食堂、八角楼、電源室、工務室、戦時指揮センターの6つの国定古蹟があります。
庁舎
メインとなる庁舎の建物。
1階は赤レンガ造り、2階は木造の折衷型で、明治後期から大正時代に流行したヴィクトリア様式。内装も最高に素敵です。
ここがメイン展示で、全体の約7割を占めてます。
食堂(現在はお土産屋さん)
(国立台湾博物館公式HPより画像をお借りしました)
二階建ての木造建築で、1932年にできた「職員食堂」と1941年にできた「経理課会計係事務室」だった建物。現在はお土産屋さん。
台鐵のミニ電車シリーズは品揃え豊富だったし、台湾の有名な料理酒のマグネットなど面白いお土産がたくさんありました(^^)
八角楼の男子洗面所(現在は展示室)
1919年にできた男子トイレ(!)。男性職員がほとんどだったことから男子洗面所のみ建てられたそうです。なんて立派なトイレ…。
現在は各建物の説明用に使われています。
電源室(現在はごはん屋さん)
1925年に建てられた発電、蓄電などをする電力の供給施設。
現在はごはん屋さんになっています。
ちなみに、八角楼の男子洗面所の近くの白い建物「鐡道補給站」には売店のようなところもありました▽
工務室(現在は子供向けの学び&遊べる展示室)
1934年に建てられたもので、工務課、庶務係や課長室として利用された建物。
現在は子供向けの学んだり遊んだりできる展示室となっています。
戦時作戦指揮センター
1943年に建てられた防空壕。鉄道部の上層部の避難が目的で作られたもの。上下二層に分かれていて地下室もあるそうな。
日本統治時代は円形でしたが、国共内戦時に円錐形に改造されたそう。内部は現時点では公開されていません。
鉄道部庁舎の内装が超豪華
過去の写真と見比べても忠実に再現されている庁舎外観▽外観ももちろん素敵なのですが、再現された内装もこれまた豪華。
これが鉄道の庁舎!?
舞踏会でもできそうな雰囲気。
板垣退助や皇族が泊まったという「臺灣鐵道旅館」の歴史展示が面白い
特別展として「台湾鉄道旅館(臺灣鐵道旅館)」の展示も見れたのですが、これが面白かった。
こちらが台湾鉄道旅館の外観。現在の台北駅前の三越がある場所に建っていたそうです。
赤レンガ造りの風格あふれる佇まい。当時台湾で唯一の洋式ホテルで、1908年に開業しました。
1908年といえば、先の説明で「南北縦貫鉄道」が完成した年。
この完成式典が行われるに際し、閑院宮載仁親王をはじめ、皇族や財界人など多くの来賓を予定していたが、当時はそれにふさわしいホテルがなかったそう。
そこで鉄道部技師長・長谷川は急遽ホテル建築を計画。野村一郎(後に国立台湾博物館本館を設計)と鉄道部技師の福島克巳に設計を依頼し、1年4ヶ月という短い工期でホテルが完成。
完成はなんと式典の4日前!なんとしても間に合わせるという執念が素晴らしい。
参照:
レストランのナイフ、フォークから客室の磁器製トイレまで、イギリスからの輸入品が使われたそう。アジアのコロニアルホテルっぽい雰囲気ですよね。
自由民権運動の指導者、あの板垣退助も来台時にこの旅館を利用したそうです。
英字のフライヤー。色といい絵といいフォントといいカッコ良すぎないか。
当時の新聞広告も。
帝国ホテルに勝るとも劣らないといわれたそうですが、第二次世界大戦の台北大空襲により延焼。残念ながら現存していません。
見応えのある鉄道展示
鉄道展示が見応えありました。
内容も濃いし、展示物も気合いが入ってる!こちらは屏東の竹田駅も再現した部屋。竹田駅は日本統治時代の1919年に建てられた木造駅舎で現在も人気の観光スポット。
こちらは台鐵の「莒光號(急行列車)」の車内展示。なんと実際の客車が運び込まれたそう!
景色や揺れも少し感じられるようになっており、座席に座って乗車気分を味わえます。
デジタルも駆使しながら効果的な展示がされていました。
こちらは貨物列車などの最後尾に連結する車掌車の内部だそうで。意外にも素敵な雰囲気。
電光掲示板、この距離で見るのははじめてかも。
昔は食堂車もあったそうで、台鐵のマーク入り台湾グラスの展示もありました。
子どもが楽しめるのはこの部屋!
ジオラマ(庁舎2階)
庁舎2階にある大きなジオラマ。1970〜1980年代の台北駅周辺が再現されています。
庁舎の中ではやっぱりキッズに一番人気で、小さい子から小学校高学年の子まで楽しんでいました。大人が見ても面白い!
10分〜15分間隔で動いていて、時間によって動く電車が異なります。星マークのついている時間はライトアップ展示(^^)
鉄道部パークの以前の姿も!
北門周辺。
こちらは1910年代、鉄道部近くにあった台北工場(車両修理工場)の様子。
ジオラマの部屋の窓側には電車の座席があってここで休憩できちゃうんです!
お庭の景色もよく、建物の雰囲気と相まってリラックスできました(^^)
踏み切りや改札などの実物展示(庁舎2階)
展示室によっては大人向けな展示も多いのですが、
線路の上を歩けたり、
踏み切りや信号などの実機が間近に見れたり、
改札があったりとジオラマ近辺の展示室では電車好きのおチビが楽しんでいました(^^)
機関車の仕組みが学べる部屋と木製電車で遊べるプレイルーム(外の建物/工務室)
庁舎から少し離れた工務室には「蒸汽夢工廠」という機関車の大きな模型のある部屋があります。
この部屋では機関車の仕組みが分かりやすく解説されており、
石炭に見立てたボールを実際に入れてみる遊びに挑戦できたりします。
更にすぐ隣のお部屋「蒸氣夢工廠」では小さな機関車にまたがってレールの上を動かせたり、IKEAの木製電車・木製レールが置いてあって遊ぶことができます!
覗いた時は次男がお昼寝中だったので利用せずでしたが、機関車は登録制で、先にこの部屋で乗車枠を確保してその時間に来る感じみたい。この日は空いていましたが、コロナが落ち着いてきた今は混み合うのかな。特に土日は。
(WalkerLandさんより写真をお借りしました)
3〜6歳くらいの男の子だとこの部屋で1時間は過ごしちゃうかも。笑
*
以上、国立台湾博物館・鉄道部パークについてでした!次男のお昼寝中に歴史展示がゆっくり見れたのですが、大人目線で見るか子供たち優先で回るかで印象も変わりそう。
子供も一緒に楽しめるけど大人向け展示の方が多いので、家族で行くならパパママ手分けして見るのも手かも。
見応えたっぷりの施設でした(^^)
施設情報
名前:国立台湾博物館・鉄道部パーク(國立臺灣博物館鐵道部)
住所:台北市大同區延平北路一段2號
時間:9:30-17:00
休み:月曜日
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